近年、地球温暖化対策の重要性が高まる中、省エネルギー性能に優れた住宅への関心が高まっています。
その中で注目されているのが、「GX志向型住宅」です。
GX志向型住宅は、従来の省エネ住宅よりも厳しい基準を満たす必要があり、高い省エネ性能と快適な住環境を実現できます。
今回は、GX志向型住宅の概要、基準、メリット・デメリット、補助金制度について解説します。
ZEHとの違いについても比較し、よくある質問にも答えますので、新築住宅を検討されている方はぜひ参考にしてください。
GX志向型住宅とは何か
GX志向型住宅の定義
GX志向型住宅とは、再生可能エネルギーの活用と省エネルギー化を推進する「GX(グリーントランスフォーメーション)」の理念に基づき、従来のZEH(ゼッチ)よりも高い省エネ性能を有する住宅です。
2025年度から開始された「子育てグリーン住宅支援事業」において、新たな省エネ住宅類型として位置付けられています。
GX志向型住宅の基準詳細
GX志向型住宅となるには、以下の3つの基準を満たす必要があります。
・断熱等性能等級:6以上
断熱等性能等級は7段階評価で、6以上は高い断熱性能を示します。
これは、高性能な断熱材や窓などの採用が不可欠です。
・再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量の削減率:35%以上
これは、太陽光発電などの再生可能エネルギーを除いた消費エネルギーを35%以上削減する必要があることを意味します。
高効率の空調設備や照明器具、省エネルギー設計が求められます。
・再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率:100%以上(一般地域の場合)
一般地域では、再生可能エネルギーを含めた消費エネルギーを100%以上削減する必要があります。
これは、太陽光発電システムなどの導入がほぼ必須となります。
寒冷地等では75%以上となります。
都市部狭小地等では、再生可能エネルギー未導入の場合も例外的に認められます。
・HEMSの導入
エネルギー消費量を可視化し、設備機器を制御できるHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)の導入が求められます。
ZEHとの違いを比較
GX志向型住宅とZEHの主な違いは、断熱性能と一次エネルギー消費量の削減率です。
GX志向型住宅は、ZEHよりも高い断熱性能とより高い省エネルギー性能が求められます。
具体的には、断熱等性能等級がZEHの5以上から6以上に引き上げられ、再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量の削減率もZEHの20%以上から35%以上に厳しくなっています。
GX志向型住宅のメリットとデメリット
メリット具体例
GX志向型住宅のメリットは、以下の通りです。
・最大160万円の補助金を受け取れる可能性がある。
子育てグリーン住宅支援事業を利用することで、最大160万円の補助金が受け取れます。
・光熱費を削減できる。
高い省エネ性能により、冷暖房費などの光熱費を大幅に削減できます。
・税制優遇を受けられる可能性がある。
固定資産税などの税制優遇措置が適用される可能性があります。
デメリットと対策
GX志向型住宅のデメリットは、以下の通りです。
・初期費用が高額になりやすい。
高性能な設備や再生可能エネルギーシステムの導入により、初期費用が高額になる傾向があります。
補助金制度を活用することで、負担を軽減できます。
・太陽光パネルの設置がほぼ必須である。
一次エネルギー消費量の削減率を満たすためには、太陽光パネルの設置がほぼ必須です。
設置場所の確保や費用面を考慮する必要があります。
補助金制度の詳細と申請方法
GX志向型住宅は、「子育てグリーン住宅支援事業」の補助金対象です。
最大160万円の補助金が支給されます。
申請は、建築会社が代理で行うのが一般的です。
補助金の支給要件や申請方法については、国土交通省のウェブサイトなどで確認できます。
よくある質問と回答
・GX志向型住宅は建築費用が高くなりますか?
一般的に建築費用は高くなる可能性がありますが、補助金制度などを活用することで費用負担を軽減できます。
・大容量の太陽光発電は必須ですか?
一般地域では、100%以上の一次エネルギー消費量削減を達成するために、大容量の太陽光発電システムが必要となることが多いです。
ただし、住宅の省エネ性能や地域条件によって異なります。
・蓄電池は必須ですか?
蓄電池は必須ではありませんが、太陽光発電で発電した余剰電力を蓄電し、夜間や停電時に活用できるため、推奨されています。
補助金制度で導入費用の補助も受けられます。
・補助金制度はいつからスタートしますか?
2025年度から開始されました。
・他の補助金制度と併用できますか?
国の他の補助金制度との併用はできませんが、地方自治体の補助金制度との併用は可能です。
・補助金の対象外になるケースはありますか?
災害危険区域など、特定の区域に立地する住宅は対象外となる場合があります。
まとめ
今回は、GX志向型住宅について、その定義、基準、ZEHとの違い、メリット・デメリット、補助金制度などを解説しました。
GX志向型住宅は、高い省エネ性能と快適な住環境を実現できる一方で、初期費用が高額になる可能性があるなど、考慮すべき点もあります。
新築住宅を検討する際には、これらの情報を参考に、ご自身のライフスタイルや予算に合った住宅を選択することが重要です。
補助金制度などを活用することで、費用負担を軽減しながら、環境にも配慮した家づくりを進められます。
GX志向型住宅は、将来を見据えた賢い選択と言えるでしょう。
専門家への相談も有効な手段です。